1973年に第二精工舎が初めて世に送り出したデジタル時計「05LC」(写真奥)と、その後継機「05LCA」(写真手前)です。
1973年といえば、セイコーが日本初のLCD(液晶)デジタル時計にして、世界初の6ケタ表示液晶(秒まで数字で表示するということです)を実現した記念すべき名機「06LC」を発売した年。
当然、セイコーのファーストデジタルといえば「06LC」になる訳ですが、実はコレクターの間ではもう一つのファーストが存在します。 それこそが、この「05LC」なのです。
なぜファーストが二つも存在するのか? ご存じの通り、セイコーには当時「諏訪精工舎(現セイコーエプソン)」と「第二精工舎(現セイコーインスツルメンツ)」の二つの会社があり、それぞれが独自にデジタル時計の開発を進めていました。 そしてまず最初に発売までこぎ着けたのが諏訪精工舎の「06LC」。 その数ヶ月後、第二精工舎より「05LC」が発売された訳です。
「05LC」の生産数は500個ともいわれ、 現在では「06LC」とは比較にならないほど入手が困難になっています。 (ちなみに06にはチタン削り出しケースととSSケースの2種類があります。 ステンレスの方が製造本数が少ないと聞きましたが、中古市場での人気は やはりチタンケースの方が高いようです。「06」はもしかすると世界初の チタン製ケース採用の時計かもしれませんね・・・)
「05LC」は、スペーシーなデザインとは対照的に、手にしてみると非常に無骨な印象のある時計ですが、その後継機「05LCA」になると、随分とプロダクト製品としての雰囲気が出てきます。ケースとブレスの連続的なデザインも、05LCにはないものですよね。
ちなみに、05LCのデザインは後に「スプーン」へと引き継がれています。