- 天上の舞 飛天の美
- 2013.11.27 Wednesday
- category: event
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2007年〜2008年、ボクは仏像のことばかり考えていた。
『日経おとなのOFF』という雑誌の編集者をしていたボクは、
07年6月号で行った「仏像の美に癒やされる」特集をきっかけに
急速に仏像編集者(そんなのあるのか?)としての道を歩み始めた。
中でも写真家の三好和義さん、みうらじゅんさんのお二人とは
色々とお仕事をさせていただいた。
みうらじゅんさんとは、今もしんきんカードの会員誌『はれ予報』の
連載「僕宝 仏像の旅」でお世話になっている。
三好さんとは、何度も何度も奈良、京都を訪ね、仏像撮影を行った。
室生寺に始まり、薬師寺、東寺、三十三間堂、、、撮影許可をとるのは
半端なく大変だったのだけれど、それでも自分の大好きな仏像を
なんとか撮影させていただきたいという一心でお願いし続けた。
その一つ、平等院鳳凰堂の撮影許可がおりたときには、本当に涙が出そうになった。
過去には土門拳、十文字美信など数多くの有名写真家がカメラに収めている
平等院の定朝作阿弥陀如来坐像。そして鳳凰堂や雲中供養菩薩。
将来写真集にまとめることを考えると、ここを外すわけにはどうしてもいかなかった。
だからこそ、お寺に何度も足を運び、心からお願いした。
ご住職からご許可の電話をいただいたのは、銀座で会食をしている時だった。
撮影は黄砂の季節だった。
長ダマで覗いた屋根の上の鳳凰が、黄砂によって歪む太陽の中で
まさに「火の鳥」のような姿を見せたのが、なんとも神秘的だった。
その様子は三好和義仏像写真集『極楽園』の中で発表されている。
『極楽園』は同じくボクが編集を担当したムック『美仏巡礼』とともに、
今も多くの方に楽しんでいただいている。
東京ミッドタウン(六本木)のサントリー美術館で開催中の
「天上の舞 飛天の美」展を訪れた時、あの日のことが鮮明によみがえった。
今回の展示では、国宝の「雲中供養菩薩」ならびに「阿弥陀如来坐像光背飛天」を
驚くほど間近で、しかも目線レベルで拝見することができるのである。
特に「光背飛天」のほうは東京初進出となり、現在行われている鳳凰堂の修復が
完了したあとは、再び堂内に戻されるため、このような状況で見ることは
まずできないだろう。それだけでも、足を運ぶ意味がある。
さらにもうひとつ、ありがたい仕掛けがあった。
雲中供養菩薩の模刻に直に触れられるコーナーがあるのだ。
この模刻は、修復後は鳳凰堂に飾れることになる。
国宝で世界遺産でもある鳳凰堂の内部に、自分が触った仏像が並ぶというのは
まさに奇跡と呼ぶにふさわしいだろう。
平等院からの出展以外にも見所は多い。
仏像好きなら法隆寺金堂天蓋付属の飛天(重文)や四天王寺の舞菩薩(重文)も
ぜひ見ておきたいところ。
この秋はこの展覧会以外にも
東京藝術大学で開催中の「国宝 興福寺仏頭展」や
金沢文庫で開催中の「東大寺ー鎌倉再興と華厳興隆」と
東京周辺で仏像イベントが目白押し。
ぜひ足を運んでいただきたい。
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- ジャパン時計フェスタ 開催中
- 2013.11.23 Saturday
- category: event
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「家具、じゃなくってディノス家具」というCMが嫌いだ。
家具そのものとカタログを言い間違える可能性はほぼなく、
本来であれば「ディノス、じゃなくってディノス家具」
というのが“正しい言い間違い”(?)であると思うからだ。
しかし、このようなモヤモヤ感をあえて呼び起こすことは
高度なCM手法なのかもしれない。
いや、そうであると信じたい。
同じような手法を使ったイベントが、いま有楽町で開かれている。
ジャパン時計フェスタ。
英語、日本語、イタリア語という3つの異なる言語を
巧みに組み合わせたネーミングは、絶妙な不安感をボクらに覚えさせる。
それでいてテーマは「スイス×日本のものづくり」というのだから、
かなりはっちゃけているのだ。
せめて「ヤーパン・モントル・フェスタ」であったならば、
スイスらしさも出たのに、なんて考えてしまうのは無粋だ。
あえてそうしなかったことに、このイベントの「らしさ」があると考えて、
まず間違いない。
その証拠に、イベントに行けば誰もが、
「ほほう、これは確かにジャパン時計フェスタだ」と
納得するだろう。
珍妙な空気を持つ会場。
中には「これは有楽町時計フェスタだ」
と揶揄する声も聞こえたりするのであるが、
もしそこまでの厳密さを求めたいならば、
「日本橋三越大北海道展」と同じように
「有楽町交通会館池袋古時計祭り」とせねばならないだろう。
とにかく、そういうモヤモヤしたイベントが、ギンザにほど近い、
有楽町駅前で開催されていることだけは、忘れてはならない。
さて、最後に見所についても語らねばならないだろう。
もしあなたが、どうしてもこのイベントに行くと決めたのなら、
それなりの覚悟を持たねばならない。
ディープで淀みある空気の中を最深部まで突き進む、
川口浩ばりの勇気を持たねばならない。
一番奥のガラスケースには、セイコーの歴史的名品の数々が並ぶ。
いちいち解説はないし、誰も説明はしてくれないが、
まぎれもない「ミュージアムピース」ばかり。
時計関係者とマニアをのぞくと、このゾーンを見ても
何が何だかまったく分からないのであるが、
とにかくガラスケースの前に立って「フムフム」と
2度ほど首をタテにふれば、これであなたもセイコーツウ、という
ナレーションがどこからともなく聞こえてくるのである。
ソラミミだが。
もし気が向いたなら、そして時間に余裕があってしまったなら、
ついでに、周囲にある古時計屋さんを冷やかすのもいい。
今回は意外なところにエニカーが多く並んでいるな、とか、
気になって値段を聞いてみると「その時計は商談中なんですわ」、と
仕入れたときのことから今にいたるまでを事細かに解説してくれるな、とか
いろいろな気づきを与えてくれることだろう。
個人的には変な時計がたくさん並んでいるBQブースを押す。
女性にもお勧めの60sのブローバ・ディオールが
2万8000円〜と格安で並んでいたりする。
ボクの欲しいジャガールクルトも、法外な価格で売っている。
そして、親切丁寧に時計の解説をしてくれ、メンテナンスもばっちりの
珍しい出展者、ダイワ時計店さん辺りも見逃せないのである。
何しろ売り物にキャプションがついているのが、このイベントの
趣旨に反している。
というわけで、週末はぜひ「ジャパン時計フェスタ」にお立ち寄りください。
交通会館1階の外で売ってる珈琲もおいしいよ。 - comments(0), trackbacks(0), -
- 十八代目 中村勘三郎 追悼の会
- 2013.11.14 Thursday
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芸能の神様はそれぞれの分野ごとに
数百年に一度天才を輩出し、
その分野の存続と発展を目論む。
立川志の輔が言った。
歌舞伎において、その役割を担ったのが
昨年亡くなった十八代目 中村勘三郎その人だという。
そのことには、誰も文句のつけようがないだろう。
歌舞伎役者の中でというのではなく、
すべての分野を通じて、あれほどまでにアグレッシブで
挑戦的で、それでいてチャーミングな人は、
しばらく登場しないのではないだろうか。
十八番といえば、歌舞伎を語源に持つ言葉で、
「もっとも得意な芸」を指すものだが、
中村屋の十八番目に選ばれたのは、
最も“特異”な歌舞伎役者だったのである。
そんな勘三郎さんの追悼イベントがまつもと市民芸術館で行われた。
なぜ松本か。
実はこのまつもと市民芸術館こそが、
勘三郎さんが病気後の復帰初舞台に選んだ場所であり、
生前、最後に舞台を踏んだ地であるからだ。
市民の強い後押しにより、没後「名誉市民」にも選ばれている。
開場につくと「ああ、伊藤豊雄建築なんだ」と気づく。
知らなかったけれど、見れば分かる。
それほどまでに個性的なホールなのだけれど、
奇抜なだけではないとてもいいホールだった。
この追悼イベントを企画したのが落語家の立川談春さんで、
それに賛同したのが志の輔さんであり、さだまさしさんだった。
さらにはスペシャルゲストとして勘三郎さんと長く親交のあった
笑福亭鶴瓶さん、串田和美さんまでもが登場。
楽しいことが好きだったという故人の思いに応え、
落語あり、トークあり、歌ありの
まさに爆笑(ときどき涙)の4時間半(!)だった。
〈プログラム〉
立川談春「宮戸川」
笑福亭鶴瓶「青木先生」
鶴瓶×談春×串田トーク
(中入り)
さだ×鶴瓶×談春トーク
さだまさし歌唱「精霊流し」など
(中入り)
立川志の輔「中村仲蔵」
とにかくこれだけのプログラムが組まれたのは奇跡だった。
すべてが一流。
やはり鶴瓶(敬称略)は面白い。
落語「青木先生」は新作だが、生前、勘三郎さんが
好きだと言っていた演目だったという。
そして、最後の志の輔さん十八番「中村仲蔵」。
ボクは今年2回目となるこの演目だけれど、
やはり勘三郎さんの追悼イベントで聴くそれは、
また特別な趣があった。
勘三郎さんは、確かに、平成の中村仲蔵だった。
勘三郎さんは、この秋、映画になって帰ってくるという。
11月30日から全国の芝居小屋で上映される。
これもまた、ぜひ見たいものだ。
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- 三好和義写真展「伊勢神宮 式年遷宮」
- 2013.11.13 Wednesday
- category: event
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今日から来週月曜日までの6日間、銀座和光6階ホールで
三好和義さんによる写真展「伊勢神宮 式年遷宮」が開催される。
というわけで、本日夕方に拝見してきました。
会場には美術史家の山下裕二先生や、写真家の田沼武能さんなどの
顔も見受けられ、注目度の高い展示であることが分かります。
20年に一回行われる式年遷宮。
これまでにも選ばれし写真家だけが撮影してきたわけですが、
今回の三好さんの写真展は正直、そのどれにもなかった、
極めて希少なシーンや構図を数多く見ることができました。
いや、これは冗談抜きに見ておかないとちょっと後悔するかも。
すべてが美しい写真であるのはもちろんですが、魅力はそれだけじゃない。
写真であっても、あの内容が見られるチャンスはそうはないと思います。
もちろん、現物を見ることは不可能だし。。。
本当に、よくあれだけのものの撮影許可ならびに展示許可がおりたものです。
祭事、建築過程、宝物、そして本殿……細部まで写真をじっくり見て
楽しむのがこの写真展の楽しみ方でしょう。
驚きの発見連発ですよ!
会場デザインはおおうちおさむさん。
許可関係の問題で、今朝、開場ギリギリまで展示の修正を行っていたそうです。
まさに力作。
思い起こせば2009年、ボクが最初に携わった仏像写真展「極楽園」も
三好さん、おおうちさん、和光のコンビでここで行われたのでした。
あの日が懐かしい。
※写真集『極楽園』もおおうちさんのデザインです!
期間が短いのが残念ですが、無理してでも行った方が良いと思います。
和光は夕方19時までなので、ご注意を。
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- WAKO GENTLEMEN'S CLUB
- 2013.11.12 Tuesday
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日本有数のカッコいい人、ファッションディレクターの
干場義雅さんの監修によるイベント「WAKO GENTLEMEN'S CLUB」が
12月9日(月)、10日(火)の2日間、銀座の和光本店で開催されます。
シャンパンやウイスキーを飲みながら、和光で取り扱っている
最高級のファッションアイテムに触れられるといった内容で、
ブランドにまつわる干場さんのトークショーも予定されているとのこと。
未知の上質アイテムと出逢えるチャンス!
こりゃ行くしかありません。
話題のイベントゆえ、参加は抽選。
ご興味ある方は、ぜひともURLへアクセスしてくださいませ。
当日はボクもいるかもしれませんので、見かけたら声をかけてね。
http://www.wako.co.jp/news/452
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- みうらじゅん×いとうせいこう=「国宝 興福寺 仏頭展」
- 2013.10.30 Wednesday
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東京藝大で開催中の「国宝 興福寺仏頭展」に関連して
みうらじゅんさん×いとうせいこうさんのトークショーが行われました。
当初の定員は150人だったのですが、あまりの応募者数の多さに
急遽会場を変更して拡大版になったとのこと。
それでも周りには落選したひとがけっこう多くてびっくり。
さすがのMJ人気っすね。
トークはもちろん爆笑の連続で、45分があっという間に終了。
スライドショーにはボクが差し上げた「誕生仏像」も出て来て
ナツキカンゲキ。
そのあとは「ナイトミュージアム」を堪能(校了日なのに)。
やっぱかっこいいっすよね、山田寺仏頭は。
しかも、今回は深大寺釈迦如来さんもいらっしゃってて
まさに、まんまんまんぞく、一本まんぞく、ってな感じ。
グッズもMJ & ISのテイストがバッチリ入ってて、
かなり充実しておりました。
中には『はれ予報』で掲載された仏頭イラストを施した
グッズもあったりして、思わぬ出費とあいなったしだい。
仏頭メモ帳。
グッズの中でも注目アイテムのひとつ「仏頭ループタイ」は
アラタ(古田じゃないほう)もしてたらしく、
一気にファッションアイテム化しているようですよ。
ファンの方は必見です。
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- 第一回公募 “世界旅写真展”
- 2013.10.21 Monday
- category: event
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世田谷に出来たばかりの「アパート ギャラリー&ライブラリー」で
第一回公募“世界旅写真展”が開催されることになった。
このギャラリーは様々な分野の若い力が結集してできた野心的なスペースである。
オープンから半年を経たずして、
いきなりの公募写真展開催とはやるな〜、なんて端から見ていたら、
ボクの方にも火の粉が飛んで来て、
ギャラリー館長の中村さんからの強い希望により、
なんとボクが審査員のひとりを仰せつかってしまった。
いやぁ、困りました。
写真は好きだし、仕事でも常に写真を見ているのだけれど、
1枚の写真を見てどうこうと言えるような立場でないことは
自分自身が一番よくわかっている。
なんでお前が、と言われれば、
申し訳ございません、と答えるよりほかにないのである。
実はほかの有名編集者や写真家の方を紹介するという話もしたのだけれど、
中村さんの中では既に腹が決まっていて、「安藤に」ということになってしまった。
決まってしまったからには仕方がないもんで、
やるっきゃナイトというわけでして、
覚悟をそれとなく決めなくてはならないのであります。
といっても、自分の出来ることしか出来ませんので、
今回は雑誌編集者の眼で写真を選ばせていただこうかと思っている。
現在ちまたで行われている写真コンテストの主流は
「アート系」か「ハイアマチュア向けの自己満足系」かのどちらか。
中村さんがどうお考えになっているかは分からないのだけれど、
今回はプロ向けのコンテストになるので、アート的なというよりは
雑誌的な視点から選んでみたいと思う。
幸運にも、他のアート分野と違い、写真アートの分野は雑誌的な仕事と、
作品作りの境界線が曖昧でも許される希有な分野である。
アラーキーだって仕事としての撮影をしたり、作品作りをしたり、
ときには仕事としての雑誌撮影で撮ったものが作品になったりもしたりする。
これは他の現代アートとは明らかに異なる点で、美点でもある。
ちょうどボクのやっている雑誌も来年から
更なるパワーアップをすることになったし、
新たな才能との出会いは願ったり叶ったり。
もちろんいつもおつきあいいただいたいる写真家の方でも、
ボクの知らない世界観を見せていただければ、さらに嬉しい。
ということで、皆様、ドシドシご応募ください。
応募の詳細はこちら。
名作写真集『ロマン汽行 ー汽車と乙女たちー』より
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- ハウステンボスで「世界一周 植物園」
- 2013.10.04 Friday
- category: event
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『そらみみ植物園』がめちゃんこ売れてる 西畠清順さんがまた面白いことを仕掛けているようである。今度は長崎のハウステンボスで「世界一周 植物園」なるものを10月12日〜11月17日の期間限定でオープンするのだ。「もう一生見られない!? 珍しい花と植物を集めました!」とチラシに書いてあるように、どうやらヤバいのが勢ぞろいするもよう。しかも、世界初公開となるひまわりの新種「ひまわる」まで、季節を押して参戦するというではないか。これは見ないとまずいと思います。清順さんといえば、『日経ビジネス』の同梱誌『DIGNIO』のほうも見逃せない。『MOMENTUM』の表紙の写真家、塚田直寛さんが撮影した清順さんセレクトの植物と、高級腕時計の競演はかなりスゴいです。特集内では江頭2:50公式フォトグラファーとしても有名(?)な秦淳司さんによるモデル×高級腕時計も絡みあって、他では見ることができない強烈な特集になっています。とにかくカッコいいので、ごチェックのほど。
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- この夏は九州が暑い、いや熱い
- 2013.08.06 Tuesday
- category: event
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佐賀で山口大志さんの写真展『AMAZON』が始まった。この週末に行われたトークショーでは山口さんの地元・唐津から大応援団(?)も駆けつけ、大盛況だったという。ボクも行ってみたいのだけれど、九州はちょっと遠いなぁ〜、と思っていたら、またもや九州での展示のお知らせが来た。今度は宮崎である。8月27日〜9月1日という日程で、宮崎県立美術館にて開催される鬼海弘雄さんの『PERSONA』。東京都写真美術館や、伊丹市美術館での展示は見ているのだけれど、やはりもう一度観てみたい。いや、何度でも観たい。そう思わせる内容の濃いシリーズだ。今回の展示は「第14回 ドキュメンタリーフォトフェスティバル宮崎」の“目玉”ということになるようだが、鬼海さんのこの規模の展示は、もしかすると九州初上陸ということになるのだろうか。ご本人には確認していないけど、少なくともプリントを直接目にできる機会はこれまでにそう多くなかったと思う。九州の方には、ぜひあのなんともいえない美しい諧調と、被写体となった人間の深みを体感してもらいたい。にしても、この2つの展示。微妙に期間がかぶっているのは、ボクに「行け」ということなのだろうか。。。そりゃ行きたいけど。。。。。
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- 殿村任香×鬼海弘雄 トークショー
- 2013.08.03 Saturday
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殿村任香さんと鬼海弘雄さんという不思議な組み合わせのトークショーが六本木のZEN FOTOで開催されるというので行ってきた。なんでこの組み合わせ? と不思議に思っていたら、意外と単純で、殿村さんが鬼海さんのファンだったからとのこと。しかも『情熱大陸』を見てファンになったそうだwなんとも良い話。殿村さんは母親の不倫現場を写真に収めるというとんでもない作品で話題になった若手写真家である。作品では母親の不倫相手は焼き込みによって黒くつぶされているのだけれど、それを最初に見たときは「不倫相手は黒人なんだ!」と変な感動を覚えた。その写真に荒木経惟さんがとてもいいキャッチコピーをつけている。「ベン・ジョンソンとの不倫」確かに不倫相手の黒さが半端ない。ベン・ジョンソン並の黒さだ。というのはもちろん嘘で、本当は、「闇との不倫」が正しい。いつもながら、アラーキーのコピーセンスはスゴいのだった。今回のトークショーではその作品にあわせて、鬼海さんも闇をイメージした服装をセレクト、、、、、したのかは定かではない。定かではないが、お二人とも黒装束。殿村さんの話の中で特に印象に残っているのが写真を撮ることを「時間(世界)を活きじめにする」と表現したこと。これはいい言葉だった。鬼海さんも感心されていた。こういうセンスのある人は、これからもきっと良い写真を撮るのだと思った。殿村さんの写真展は9月7日まで開催されている。個人的には仏壇の写真とネコの写真がよかったです。
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